もう何も考えられなくて、ただただ涙が溢れた。


目の前も見えない。


「千比絽、ごめん。おまえを泣かせてばかりだな。」


泣き過ぎで苦しくて、上手く話せない。


この涙は悔し涙だ。


「西條先輩は狡いですよ。私は父親が亡くなった時も泣かなかったのに、こんな泣き虫だったなんて、みんな西條先輩のせいですからね。」


周りなんか気にせずに、西條先輩に抱きついて、声を上げて泣いた。


泣いても泣いても涙が枯れる事はないのだ。


考えてみれば、西條先輩に毎日振り回されぱなしで、頭から西條先輩の事が離れない。


「千比絽は俺に惚れたな。」


こんな時に何を言ってるんですか。


西條先輩を好きになってたって事。


嫌、違う。


「そんな訳ないじゃないですか。」


西條先輩の事ばかり考えてると言う事が、惚れたと言う事なるのか。


真剣に考えた。


「千比絽、笑ってくれよ、おまえを泣かせたくないんだ。俺は絶対死なない。千比絽の為に生きるよ。」


もう西條先輩のバカ、大バカやろう。


又泣かせるような事を言う。


死んだりしたら許さないからね。


私の為に生きていて下さい。


約束ですよ。