だけど、涙が止まらない。


西條先輩が死んじゃう、声を殺して泣いた。


いきなり肩を叩かれ我に返る。


「何泣いてんだよ、俺はまだ死なない。」


なんで、そんな簡単に言えるの。


バカな私にもそれくらいは分かる。


「この病気は骨髄の移植しか助からないんでしょ。」


西條先輩、わかってるんですか。


「移植は中2の時したから、大丈夫だ。少し無理をし過ぎただけ。明日を投げきったら、病院へ行く。千比絽頼むから見逃してくれよ。」


西條先輩の言葉を本当に信じていいのだろうか。


この状態はかなり危ないと思う。


西條先輩が死ぬのを、黙って見てるなんて出来ない。


今直ぐ病院へ行こう。


西條先輩を病院へつれて行こうとすると、西條先輩が土下座した。


「これ以上絶対無理はしないから、後一日だけ見逃してほしい。」


そんな事出来ないと言おうとしたら、いきなり抱き締められ、口を塞がれた。


こんな時に、何するのよ。


何でこんな時キスなんかするの。


私のファーストキスを返せ。


悔しい、何も出来ない私が悔しくてたまらなかった。