彼女は
一通り見終えと、
静かにスケッチブックを
閉じた。

「ありがとうございました。
私‥、瀬良さんの絵、
好きです。」

そう笑いながら、
彼女は僕にスケッチブックを手渡し、

「ありがとう。
そう言ってもらえると、
僕も嬉しいよ」

と、少し照れ笑い
しながら、
僕はそれを受け取った。


すると、

「5番の札を
お持ちの方‥」

と、カウンター越しに、
おばさんが番号を呼んだ。

「やっと、
出来たみたいだね。
あっ‥、天海さんは
座ってていいよ。
僕が取ってくるから」

彼女にそう言いながら、
僕はスケッチブックを
カバンの上に置き、
イスから立った。

「いいんですか‥?
じゃー、すいません‥
お願いします」

立ち上がった僕に、
彼女は申し訳なさそうに
笑った。

『気にしないで』

と、彼女に笑うと、
僕は番号札を持って
カウンターへと歩いた。