「天海‥さん…?」


僕の声に驚いたように、
彼女は振り向いた。


「どう‥して…?」


目を見開いたまま、
困惑したように
彼女は複雑な表情を
浮かべる。


「ごめん…、お母さんから聞いたんだ‥。
入院してることも‥
病気のことも‥」



僕の言葉に
彼女はうつむき、
胸の前で
両手を強く握りしめた。


その小さな肩が
微かに震えているのが
分かった。



僕は真っ直ぐに
彼女の元へ歩み寄ると、

何も言わずに

そっと 彼女のことを
抱きしめた。