「ちか…ぁ。」


「なっさけねー声出して。
まったく、そんなに誓耶に依存してんなら別れようなんて言わなきゃいいのに。」



なぁ、と同意を求められ、誓耶は弱々しく笑った。



「あ…。」



偉槻の瞼が震えた。



「偉槻?」



健が呼びかける。



ゆっくりと、偉槻が目を開けた。



「おおっ、起きた!」



健は嬉しそうに誓耶の腕をつかんだ。



誓耶も健を見つめる。



「おい、偉槻、聞こえるか?
聞こえるんなら、見えてるんなら、頷け。」



ゆっくりと、偉槻の頭が上下する。



健は、ははっと笑った。



「おい偉槻大変だったなぁ!」


「るせ…。」



いつの間にか、看護師は医師を呼んでいた。



医師たちはさっと偉槻に群がり、状態を見た後、健に簡単な説明をした。



その間、誓耶は本心状態で偉槻を見つめていた。



偉槻もようやく黙ったまま座っている誓耶に気付いたようで、目を大きく見開く。



しばらく二人は無言だった。