そしてヒステリックに叫んだ。



「イツキに触らないで!」


「すみません、院内ではお静かに…。」


「うるさい!」



茉理子はつかつかと誓耶に歩み寄って、パンッと頬を叩いた。



もう、慣れたや。



誓耶は痛みに顔を歪めたが、何も言わなかった。



看護師は呆気にとられてその光景を見ている。



誓耶は呆れて立ち上がった。



もう、いいや。



偉槻のそばにいられないのは寂しいけど、どうやら無事そうだし。



背中を向けた時だった。



看護師が、誓耶の服を引っ張った。



「見て、動いた。」



え、と振り返ると、偉槻が微かに身体を震わせていた。



「イツキ!?」



茉理子が嬉しそうにベッドに飛びつく。



誓耶はそこに根が生えたかのように突っ立っていた。



心臓の鼓動が聞こえるくらい大きくなる。



目を、覚ますの?



偉槻が、口を動かした。



「なんて言ったの?」



茉理子は口に耳元を近づける。