連れて行かれた病室は、個室だった。



どうせ茉理子が言い出したんだろう。



ベッドに横たわる偉槻は、あちこちが包帯でぐるぐるに巻かれていた。



入口で足がすくんで、歩けなくなった。



看護師は気遣わしげに誓耶を窺う。



大丈夫。



偉槻は大事無いって、先生言ってた。



自分を励まし、一歩踏み出す。



どうやらトコトン親切らしい看護師は半歩後ろに付き添ってくれた。



足音に気付いた茉理子を振り返った。



途端、その顔は厳しくなる。



「どうしてここにいるの!」



憎しみのこもった目。



誓耶はそれを無視して、偉槻のベッドを回り込んだ。



「偉槻…。」



呼びかけてみるが、偉槻は目を覚まさない。



「麻酔、もう少ししたら切れると思うよ。」



看護師が優しく口を添えてくれた。



見ると、優しく笑ってくれる。



誓耶はそっと偉槻の手を取った。



茉理子が目を吊り上げる。