店長はなぜか渋い顔をして近寄ってきた。



「おい、なんかあったのか?」


「こっちが訊きたい。」


「どういうことだ?」


「偉槻とまったく連絡がつかないんだよ。」



後半は涙声になった。



「なんだと?」


「先週から連絡こなくなって、今週かけてみても電話でてくれない。
いつもなら着信履歴みてかけ直してくれるのに…。」


「…原因は偉槻か…。」


「え?」



原因?



誓耶が首を傾げると、店長は頭を掻いた。



「奴、最近変なんだよ。」


「変って?」


「滅茶苦茶に機嫌が悪い。」


「どうして?」


「わかんねぇから俺らも苦労してんだ。」



チッと舌打ちして、店長は顎をしゃくった。



その先には、偉槻。



誓耶は何も考えずに走り出した。



「偉槻!」



悲鳴のように偉槻を呼ぶ。



視線を上げた偉槻は顔を強張らせた。



「なんで電話でないの!?」



バンッと胸板を拳で叩く。