「そろそろ次の授業に行かなきゃな」

「そうだね。中川くんは次何取ってんの」

「基礎物理。渡辺さんは」

「社会福祉学だよ。一般教養科目の」

「なんかよくわからんな。まあいいや、じゃあまたね」

「じゃあね」

中川は渡辺と別れ、次の授業へと向かった。中川にとって聞く授業は物理だけである。他の授業は聞くよりもレジュメを見た方が楽だし分かりやすい。しかし物理に関しては逆なので、毎回起きて聞くことにしている。

教室に着くと、一目散に河村がやって来た。

「お、チャラ男の中川くんのお出ましですか」

「なんだよいきなり、お前いつものめんどくささ60%増量してんぞ」

「まあまあそう怒るなって。とりあえず座れって」

河村は中川の分までいつも席を取ってくれている。中川は言われるがままに席へと収まる。