学校に着くと、化学の授業はそっちのけで、調査方法を模索することにした。

しかし、日大文学部出身という以外に手がかりもなく、とりあえずそこから探すことにした。この情報や年齢、山本茜という名前が本名であるかも怪しいが、ここがダメなら他の方面から調査をすれば良いと考えた。

そんなことを考えていると、2限の化学が終わり、食堂に向かうことにした。中川は一人食堂が好きなのである。

食堂に着くとさっさと席をとり、ねぎうどんを頼んだ。


「すいません、他に席空いてないのでここ良いですか?」

うどんを食べるのをやめ前を向くと、そこには見覚えのある顔があった。

なんていったっけこの子・・・・・・
確か同じ生物学科の子だったよな。

「あ、はい。良いですよ」

「ありがとうございます。私のこと誰だかわかりますか」

こいつ誰だ、みたいな顔をしてしまったのか。申し訳ないな。

「生物学科の子だよね。ごめん、名前なんていうんだっけ」

「やっぱ覚えられてなかった。ちょっと地味にショックだよ。渡辺千春だよ、ちゃんと覚えてね。私はちゃんと覚えてるんだからね。中川遼平くんでしょ」

「覚えた。もう大丈夫」

「中川くんはいつも食堂一人で来てんの?」

「まあ大体ね。時々河村に捕まるぐらいかな」

「へーそうなんだ。中川くんって河村くんと仲良さそうだよね」

「まあ、腐れ縁ってやつかな。高校から3年間クラス一緒だったんだ」

「そうだったんだ」

「あいつ見た目はただのチャラ男だけど、かなり良い奴だよ。俺のこともちゃんと理解してくれてるし」

「そうなんだ。単なるチャラ男かと思った。てか中川だって第一印象は凄いチャラいのかと思った。最初に二人を見たときはすごい怖かったよ」

「まあ実際は俺は結構真面目だけどね。こう見えても」

「クスッ、見た目からは想像できないけどね」