中川は少々困惑していた。基本的に探偵の仕事は秘密にしなければならないし、親族にも言わないほうが良い程である。だが、河村には話したほうが良いと、薄々感じていた。話さないとなにかと不都合である。

「ああ、まあな。最近なにかと忙しくてよ」

「忙しい所以はなんぞや」

「まあ、バイトというか、仕事が忙しくてな。簡単に言うと、ノーベンでいきなりテスト受けさせられてる感じ。それもかなり難解に試験」

「なるほど～、って言っても、そんだけ抽象的な表現じゃちょっと具体的な内容はわからねえな」

「まあつまり、バイトが忙しいんだよ」

「へえ、なんのバイト始めたの」

「シャーロックホームズ」

「は？」

「だから、シャーロックホームズだって。お前も知ってるだろ」

「だから、シャーロックホームズがバイトってのが意味わからん。シャーロックホームズ