受験に関することを色々と質問した。勉強法や、一日の勉強時間の目安など。
予想通りの答えが返ってきたが、それはどうでもいいことだ。そろそろ本題に入るか。

「ところで、桜井さんは日大の文学部出身なんですよね」

「そうだよ」

「この人知ってますか」
中川は山本茜の写真を見せながら聞いた。

「うん。茜ちゃんね、知ってるよ。大学時代の友達だね。この子がどうかしたの」

「実は、親戚のお姉さんなんだけど、ちょっと会いたくて。桜井さんと年が近くて同じ日大出身だから知り合いかな~なんて思ってダメ元で聞いてみたんです。」

「茜ちゃんに家族から連絡取ればすぐ会えるんじゃないの」

「いや、あの・・・・・ちょっと言いにくいんですが、大人の都合で家族を通じての連絡はできないんです。茜さんの連絡先を直接知ってるわけじゃないんで。」

「じゃあ、教えてあげるよ。茜ちゃんの連絡先」

「いいんですか」

「うん、村井くん悪い人じゃなさそうだし。送るね」

「ありがとうございます。あっ、このことは誰にも言わないで下さいね。茜さん本人にも」

「なんかよくわからないけど、家族の問題って感じで大変そうだし、誰にも言わないでおくね」

「ありがとうございます。ちなみに、茜さんの住所とかってわかりますか」

「今はわからないけど、大学時代のすんでた場所なら知ってるよ」
桜井はペンを走らせ、住所を書いたメモを中川に渡した。

「ありがとうございます」

「じゃあそろそろ帰ろっか」