次の日の土曜日、中川は高校生っぽい服装をして待ち合わせ場所である新宿西口駅へと向かった。15分前に到着したにもかかわらず、そこにはもう桜井亜紀の姿があった。

「どうもこんにちは、来るの早いですね」

「あ、村井君、こんにちは。仕事が早く終わったもんで、早く着いちゃったんです」

「ごめんなさい、待たせちゃって」

「いえいえ、大丈夫ですよ。じゃあ行きましょ」

ここでは中川ではなく村井なのである。とてもややこしい。中川はそんなことを感じた。

相手は結構年上であることを考え、おしゃれな店をチョイスしたほうがいいだろうと考え、近くのおしゃれな喫茶店へと入ることを提案してみた。

「そこの喫茶店なんてどうでしょうか」

「おしゃれ~。良いよ、そこにしよ」

もちろんこの喫茶店も下見済みである。特にデート目的ではないが、相手の心を開くためにも少しでも良い店を選ぼうと考えたのである。

店内に入り、中川は大好物であるパスタを、桜井亜紀はオムライスを注文した。

「わざわざ今日はありがとうございます」

「いえいえ、私は全然忙しくないんで大丈夫ですよ。それより村井君のほうが忙しいでしょ。受験生なんだから」

「まあ確かに受験生ですけどね。まだまだ暇ですよ」

「余裕ぶっこいてて落ちても知らないからね」

「まあ大丈夫ですよ。なんとかなりますよ」

ある程度世間話をした後に、本題である調査へと話を持っていこうと中川は考えた。