夕方。

けたたましくチャイムの音がなり
ソファに座りながら
少しウツラウツラしてた私は
ハッと正気を取り戻し慌てて姿勢を正す。


TVでは変わらず
例のライブ映像が流れてて
ブラウン管の中でも
今部屋に差し込んでる夕日と同じぐらい
綺麗なオレンジ色が客席を染め上げてた。


困って辺りを見回すと
ユウは寝室で誰かと電話中らしく
時折深刻そうな声が聞こえて

立て込んでそうだったから
声もかけずに急いで玄関へ向かう。

女の人とかだったらどうしようとか
下らない心配をしながらドアを開けると


「あっ」


今日知り合ったばかりのガラの悪い男が
扉の向こうでニヤリと笑みをみせた。

そうして両手に二つ抱えた
ビニール袋の一つを私の胸に投げながら


「よ!アキ
ハイこれ土産のアイス
毒入り」

「……ッ!」

「ふはっ!
んなわけないだろーが
固まんなよ。
お邪魔しマース、アイツは?」

「電話中」

「フーンあっそ。」


そうして午前中と服の違うケンは
遠慮することもなく
ズカズカ部屋に入って行くと

もう一つの袋に入った大量の缶ビールを
冷蔵庫に次々と入れていく。

そんな彼の背中に向かって


「……あの、さ、」

「ん〜何?」

「さっきは、あの
ジュースかけたり
あとあんな事言ったりしてごめ……」


少し頭上に目線を泳がせながら
ポツリポツリと口を開くと

ケンが私の目の前まで近づいて来て
言葉を遮るように
人差し指を眉間に突き刺した。


「痛ッ!」

「お前眉間険しすぎ
まだ中坊のくせに固い固い
もっとリラックスしろよ。

俺面倒臭いの嫌いなんだよね〜
だからもうストーップ!
みたいな?」

「でも私――」

「――さっきさ
里沙にプロポーズしてきた」

「えっ!?」