驚いてユウの方を振り向くと
彼は真っすぐに私を見ながら
さらに続けた。


「たしかにさっき
最低な事たくさん言ってたけど

お前が里沙の立場にたって
彼女の気持ち代弁してくれたみたいに
あいつもいきなりこんな事になって
焦ってあんな事口走っただけで
きっと本心じゃない。

人間は弱いからさ
切羽詰まると自分の意志とは真逆の行動
とっちまう事あるだろ?

大丈夫、生まれてくる子供は
きっと幸せになるよ。

だからさ、アキ
生まれてこない方がなんて事
言ったりなんかすんなよ」


ユウの言葉が
静かに、静かに私の心に染み渡る。


……そう、なんだ。


そこには嘘とか
ただケンを庇ってるだけだとかって様子は
全然見えなくて

ケンと親しい彼が言うんだから
間違いないって自然に思った。


私勝手に
偏った見方しかできないで
あの男の本当の気持ち
全然わかってなんかなかったんだ。


……どうしよう
きっとすごく傷付けた。