心の底からの拒絶反応で
熱が原因ではない汗が
大量に吹き出てくる。


まるで縋るように
無意識に暗闇に手を伸ばした。


「嫌、病院は行きたくない」

「えっ!?
でも熱凄いし
身体しんどいだろ?」

「それでも
……あそこだけには
絶対行きたく……ない。

どうしても
……お願いだから」


荒い呼吸の合間に
掠れて頼りなく響く声の後
何か考え込むような沈黙。


そして力無く下に落ちた掌が
力強く大きな手に包み込まれた。


「わかった。
病院には行かない。
だからそんな顔すんな
もう大丈夫だから」


優しく穏やかな声に
やがて心が落ち着いてきて
薄く目を開けた。


すぐ目の前に
心配そうに
でも力強い目をしたユウの顔。


その姿を見た時
過去の記憶が慌ただしく蘇ってくる。


そうだ。
昔も同じような事があった。


はるか遠い地で
今の彼と同じように

私の手を握って
声をかけてくれた

愛しい
愛しい
……あの人の姿。


「俺がそばにいてやるから安心しろ。
今は何もかも忘れて
ゆっくり休め」


頭の上でそう囁かれ
導かれるように
ゆっくりと瞼を閉じた――。