爆音の中に身を置きながら
ふと頭によぎる。


――ケイの身体は
もう故郷に返ったのかな?


たった二人きりの兄妹なのに
兄の死を知っても
こんな所で日常を過ごしてる私は薄情者?

彼の亡きがらの側に行って
せめてもの最期の別れすらしない私を
ケイはどこかで嘆いて呆れてる?


――でも私達は知ってるから。


冷たくなった彼の身体に抱き付いて
いくら縋り付いたところで
何の慰めにはならない事を。

お互いの肌の温もりを直に感じることが
どれほど大切だったかという事を。


彼の死をきっかけに
私がどんなにケイに依存してたか
まざまざと感じさせる。


もしかしたらこんな私を重荷に感じて
自由になりたかったのかもしれない
……なんてね。


だって現に今の私は
生きる目的も何もかも失って
一人で立ってることさえ
出来ないんだから。


いっそケイを恨んでしまいたい。

私を置いて一人旅だってしまった彼を
裏切り者と蔑めれば楽になるのかな。


――でもそんな事
不可能だわ。