演奏を開始したとたん
改めて感じる身体の不調。


昼間海に入ったから?

怪我のせい?

――それともケイの事が原因?


何のせいなのか
自分でもよくわからないけど

身体の体温がどんどん上昇し
ガンガンと頭に響く痛み
動くたびに感じる節々のけだるさ。

立っているのもままならなくて
両足をしっかり地面に踏み締めるたび
左足の傷が痛む。


激しいドラムとベースの重低音が
内蔵をえぐるように身体に食い込み
自分が奏でるギターのノイズが
耳鳴りとなってさらに頭痛を引き起こす。

サクラの癖のある低音の声が
何か幻覚を見せるように
私の平常心を壊そうとする。


身体が正常に働かない。

『音』が弱り切った私の身体と心を
さらに追い詰めるように作用する。


でもこんなところで弱音を吐いて
サクラや彼らに
心配をかける訳にはいかない。


わざと左足に力を入れて
痛みによって意識を覚醒させ
ひたすらに音を奏でた。