ケイの話を彼女にした事はないし
ましてや自殺未遂したなんて
言える訳もなく

でも嘘はつきたくなくて
どうするべきか考えあぐねていると
サクラはいきなり全てを悟った顔で
ウンウンと頷いた。


「わかったわ
そーゆう事なら私にまかせて。

怪我して弱ってるところを助けられて
好きになっちゃったのね!
そして相手もアキに一目惚れ」

「は?
別にそういう訳じゃないけど」

「いいのいいの
私にもよーくわかるから。

お互い思いが通じ合って
運命感じて燃え上がって
一分一秒でも
一緒にいたくなっちゃう気持ち。
もう最高っ!」

「違くてサクラ
ちょっとまってってば!」

「――アキってばモテる癖に
全然男の気配ないから
実は心配だったのよね。
あーよかった。

それじゃアキは
私の家に泊まってる事にしとくから。
任せといて!」


喜々として目を輝かせながら
まるで自分の事みたいに
楽しそうなサクラを見て
どうしたらいいかわからなくなった。

こう見えて彼女は
超がつくほど恋愛体質で
「これからはアキと恋ばな出来るわ〜」
なんて言ってはしゃいでるし。


どうしよう。
完璧に誤解してる。


――その時タイミングがいいのか悪いのか
スタジオのドアがガチャリと開き


「うぃーす!」

「悪い遅かった?」


とバンドメンバーの二人が
揃って部屋に入って来た。