それに合わせて思い付いた
私のひそやかなる野望。


おこがましいかも知れないけど
いつか私が有名になって
それに合わせてケイの歌も
広めることが出来たなら

あの時のケイの夢も
叶えられるかもしれない。


“ケイと私とマイクのセッション”
まあ普通に考えれば無理なんだけど

街に溢れるBGMを利用して

私の歌と
ケイの歌と
マイクのギターが
雑踏の中で重なって
聞こえることあるかもしれない。

それも世界中至る所で。


なんて……かなりイレギュラーかな?


でもちょっと面白いよね?


夢中になって話し込む私とハルトの間
蒸し暑い風に時折混ざり込む
涼やかな秋の空気。


空の青色も雲の流れも
夏のものとは変わってきた。


すぐに秋が来て
やがて冬が来る。


東京よりも北側のこの都市は
あと4ヶ月もすれば
きっと雪が降るだろう。


ケイは嫌いかもしれないけど
やっぱりケイは雪に似てるよ。

綺麗で真っ白で
でも触れるとスッと消えてしまう
そんな掴み所のないところが。


今年はこの街にも
たくさんの雪が降るような
何となくそんな予感がする。


モントリオールの冬にも
負けないぐらいの
真っ白い綺麗な雪が――。



END