だって産まれた時から
周りの人に存在を隠されるなんて
その辛さ1番よくわかってるのに。

自分と同じような境遇
何の罪もない
産まれてくる子供に課してしまった。


ケン達の愛情を受けて
産まれてくるその子とあの時の私は
本当は全然違うのわかってるけど
どうしても自分の事許せない。


それにもちろんそれだけじゃ無くて
さっきユウキに言った言葉に嘘はない。


ケンは静かに息を吐いて


『全くさ、お前もユウキも
二人ともバカだよ。
お互い好き合ってんのに
離れなきゃいけないなんてさ』

「そうだね、
でももう決めたから」


浮ついてない
しっかりとした口調で言いながら
その場に立ち上がった。


するとケンは
今まで聞いた事ない優しげな声で


『お前の携帯に俺の番号残ってんだろ?
いつでもかけてこい
愚痴ぐらいなら聞いてやるから』

「ありがとう」


こうやって電話で
パワー送ってくれなかったら
まだ私しゃがんで泣き続けて
立ち上がれなかったと思うから。


みんな優しい。
それに強い。


私も皆みたいな優しさと強さを
自分自身で手に入れたい。


それで皆が与えてくれた暖かい心
私もあげられる人間になりたいの。


だから今は1人で前に進む。
そうするべきだって思った。