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「アキ〜早いね珍しい。
まだ私しかきてないよ」


ユウに送ってもらったおかげで
約束の時間よりやや早めに
スタジオ内の部屋に入ると

すでに中にいたサクラは
マイクスタンドの高さを調節してた最中で
作業をしたま
ま顔だけこちらを振り向かせた。


瀬戸さくら。

同じ中学に通うクラスメイトで
1番仲の良い女友達。


ただのバンド練習にも関わらず
いつもの如く気合いが入った恰好で
超ミニのワンピースを着て

胸までのロングヘアは
今日はクルクルと巻かれてまとめ髪。

出会った頃は茶色だった髪は
今では金色に変わってて
目鼻立ちのはっきりした彼女に
とてもよく似合っている。


性格も見た目のまんま
ハッキリキッパリサッパリ
常に自信に満ち溢れて
――180度私と真逆のタイプ。

なのに何故こんな
親しい間柄になったかというと
中三になったばかりの頃
サクラが私にいきなり声をかけてきた。

「あなた凄い損してる。
私達の美貌さえあれば
きっと二人で天下取れるわよ」って。

正直言って初めは引きまくって
ガード固めて距離をおいてたけど

お互い女同士の
派閥的な馴れ合いが嫌いで

それに音楽が好き
っていう共通点があったから
いつの間にかこんな風に
一緒にいるようになってた。


こう見えてもサクラは
真剣に歌をやってたから。

それで彼女の提案で
他に楽器出来る同級生を誘って
バンドを結成した。


去年の夏にギターを始めてから
ずっと一人で弾いてただけだったから
人と一緒に音を作り出すのは
凄く新鮮で刺激的だった。

始めたばかりで
バンドのレベルはまだまだだけど
日々少しずつ上達してると思う。


特に最近サクラは精力的で。
というのも――、