リビングのテーブルの上
ホットサンドとカフェオレを並べて
向かい合って座る。


「ねえユウキ?」

「ん?」

「引越しの業者っていつ来るの?」


ユウキはマグカップ持ちながら
部屋の時計にチラリとをやると


「あーあと二時間後ぐらいかな」

「何か手伝う?」

「……うーん、イヤ大丈夫。
そんなに細かい荷物ほとんどねえし
パッキングとか全部
やってくれるプラン頼んだし」

「ふーん、そっか」


この前寝室漁った時
荷物が少なかったの思い出した。
確かにあれなら
そんなに時間掛からないだろう。

そんなこと考えてたら


「――それに引っ越し業者の
むさくるしい男たちが
お前のことジロジロ見たらやだし。

俺って結構ヤキモチ屋なんだよね。
あのお前のバンドのメガネ君いんじゃん?
お前アイツと頻繁に一緒に帰ったり
どっか出かけたりしてただろう?
それ見るたんびに
あの野郎ってイラついてる自分いたし」


真っすぐに私を見る
嫉妬混じりの熱い視線。

なんて言うか、彼って意外と――。


そうしてテーブルの上のホットサント
掴もうとしてた私の腕
空中で彼の掌に囚われて
凄い力で引っ張られながら
親指の付け根にキスされる。


「……ひゃあ!」

「ははっ!すげぇ顔真っ赤。
お前よっぽどケイに
ガード固められてたんだな。
男に対する免疫なさすぎ。

でも今となっては
すげーあいつに感謝するけど」


そう言って逆光の中で笑うユウキ。

その笑顔がまぶしくて
熱くなった頬を抑えながら
少し目を細めた。


たった数日だけど
この暖かな光のなかで過ごした日々は
確実に私の凍った心
溶かし始めてたって、そう思った。