緊張して声が震える。


でもちゃんと伝えたいって
そう思ったから


「私も好き
……ユウキが好き」


サクラを裏切るってわかってるけど
でもこの視線の前じゃ嘘つけない。


だって私も彼の歌聴いてしまった。


強力な嵐、取り込まれて巻き込まれた。


でもそれだけじゃなくて
彼のすべてに無意識に惹かれる自分がいる。


まだ出会って何日とか関係ない。
――本能がそう言ってる
彼のことが好きだって。


ユウキは私の言葉を聞いて
すごくうれしそうに笑った後

そうするのが当たり前みたいに
私の耳元に手を当て
身体ごと引き寄せてキスを落とす。


唇が離れた後
ユウキは意地悪そうな顔で
私を覗き込むと


「俺が好きってケイよりも?」

「なっ!
……えっと、それは」


しどろもどろになる私に
ユウキはこらえ切れずに吹き出す。


「嘘だよ、そんなの比べなくていいから。
俺とお前の間には
アイツがいるのは事実なんだし。

大丈夫、アイツの魂ごと
お前のこと愛してるから」

「そん――」


私の言葉遮るようにまたキスをする。


何度も何度も
過ぎ去った時間取り戻すみたいに……。


二人の頭上には夏の夜空
足元はゆらゆらと海水が揺れてる。


私たちまるで回りなんか見えてないで
時間の感覚も麻痺するぐらい
ただ夢中でキスを繰り返した。