“イロイロ”。

その言い回しが曖昧で
思わず身体が強張った。

それを見逃さずに
ユウは噴き出したように笑う。


「心配しなくても何もしねーから。
こんなガキに手なんかだしたら
つかまっちまうし?

お前15かそこらだろ?
中坊とやるとか有り得ない」


考えていた事がつつ抜けで
恥ずかしさにカッと
顔が赤くなったのが自分でもわかった。


「そういう自分はいくつな訳?」

「俺?19」

「なんだ。
あんただって成人してないガキじゃん」

「うるせーな!いーんだよ
精神年齢立派にハタチ越えてるから」

「それを言うなら私だって
見た目は十分高校生だし」

「あ〜そうだな、
フケ顔中学生」

「うるさいなぁ。
一言多い」

「お前もな」

「………」


車内で交わされるスムーズな会話。

車外の海岸ぞいに広がる海は
何処までも果てしなく

静かな波が繰り返し砂浜に立ち寄せ
オレンジ色の夕日が溶けるように
海面一帯に揺らめいていた。