サクラを筆頭にステージに現れた私たちを
観客からのひそやかな歓声と拍手が
迎え入れた。


ホコリが立ち込める真っ暗なフロアには
Down Setのライブを前で見たいがために
今から前の冊にしがみついてる女の子達。

バンドやってるっぽい雰囲気の
男の観客も結構いて
値踏みするみたいな目つきで
ステージを見てて

後方の仕事で来た大人の人達
丸っきりこっちには興味ない様子で
隣の人と真剣な顔して話をしてる。


特別な期待なんかされてない
中学生バンドの私たちの当たり前の評価。


リハーサルの後
耳に入ってきたある噂話。

中学生も頑張ってます!みたいな
女の子二人いて華やかで見た目もいい
初々しさがイベントのイメージを上げる
音は二の次でもビジュアル重視


悔しくて思わず唇を噛み締めたけど
でもちゃんと認めなきゃいけない。


自分達の実力
Down Setとのレベルの差。

半端な気持ちでギターを弾いてた
私の弱い心。


乾燥した空気に目が少し痛みながらも
しっかりとステージ左側に立つ。


頭上には白いライト。

足元から段々と熱くなっていく
身体を感じつつ
ナチュラルブラウンのギターを抱え
コウのドラムのカウントの後
ピックを持つ手に力を入れた。