その後も洗面用具から何から
ユウは全て買ってくれて
ついでに冷蔵庫が空っぽだというので
食材も山ほど購入。


そうして車のトランクが
パンパンになったころ向かった先は私の家。

大きな屋敷を取り囲む高い塀と
分厚く立派な門を見て
ユウはハンドルを握ったまま
軽く口笛を吹いた。


「すげーなあれ。
無理矢理侵入しよう物なら
秒殺されそう。

家の前に車停めたら
警備員に目付けられそうだから
ちょっと向こう側行くな」


そう言ってハンドルを切り返し
家の死角になる路地に車を停める。


この家を見てさして驚かず
むしろこんなに面白がった反応をしたのは
ユウが初めてだった。


「じゃあ着替えとか
モロモロ必要な物持ってこい。
言っとくけど逃げたりしたら
即効あの写真焼却すっから」

「……今更逃げようなんて
思ってない」


悪い奴かと思ったらいきなりいい人になるし
でもやっぱりこんな風に
人の事脅したりするし
本当この人訳わかんない。


写真一つでこんなに振り回されて
いい加減嫌になってくるけど

彼の渦に巻き込まれてる間は
――ケイの死を
あまり深く考えなくて済むって事に
今更ながら気付いて
今は素直に巻き込まれる事にした。


一時の救いを求め
現実から目を反らし
ただ……逃げたかった。