それから車で向かったのは
駅前のお洒落な雑貨屋。


ユウは店頭にディスプレイされた
カラフルなマグカップを手に
「これ可愛くねぇ?」と
無邪気な笑顔を見せる。


――彼のオーラはいつも変化して
無限の光を放つから
さっきから眩しすぎて
むしろ痛みにすら感じる。


「別にわざわざ新しい食器
買わなくていいのに」


こんなのたった五日間だけの事。
写真さえ返ってくれば
あの家にいる理由もない。


でもユウは私の意見を無視するように
アルミ製のカゴに
さっきのマグカップやら
お茶碗、箸、スーブ皿、プレート皿とか...
どんどん食器を入れていく。


「あ〜また投げやりだよ。
いいからこの状況を楽しめっつったろ?
こんな経験めったにできねーぞ。

じゃなきゃお前毎日湯飲みで
コーヒー飲ませるかんな。
うちには余分な食器なんかねーし
むしろ台所、久しく使ってねーし」

「ご飯作ってくれる彼女ぐらい
沢山いそうだけど?」


性格はかなり問題ありだけど
実はこの男かなり顔がいいし。

背だって私より20センチぐらい大きいから
180はあると思う。

現にさっきから店の女の人の視線
独り占めしてる。


「は?彼女なんかいねーよ!
いても構ってる暇なんかねーし
てか面倒臭いし」

「………」


じゃあ何で私の事構うのよ?
とか聞こうとしたけど
また同じ事の繰り返しに
なりそうだから止めた。


そして会計の時
鞄から財布を取り出そうとした私を
後ろに追いやって
ユウはさっさとお金を払ってしまった。


「奢ってもらう
理由なんかない」

「ん〜その言葉は女として20点だな。
全くもって可愛くない。

ハハッそんな顔してねーで
さっさと次行くぞ。
まだ買うもんイッパイあんだからさ」


そうして左足を少し庇って歩く私を
フォローするように
私の左腕をさりげなく掴むと
店の出口の方に向かった。