こんな雪の中
コートも着ないで車の外に立つケイは
肩で激しく息をしながら
私の姿をジッと見て

そして私の隣の人物、前の二人と
順に視線を送った後
何かを押さえ込むように深い呼吸をした。


……今のは何?

この状況を見て、何を悟ったの?
何を考えた?


ケイと再び視線が重なる。

言葉を発する事なく2秒…3秒……
すると窓枠の所力無く置いてた私の手に
ケイの手が重なって


「アキ……ごめん」

「……ッ!」


そんな言葉は聞きたくなくて
無言で首を振る。


そんな風に謝らないで。

この馬鹿みたいな現実を
受け入れたの?

離れ離れになっても別にいいって
何もかも諦めたの?


――嫌だ、そんなのは嫌だよケイ
一分一秒でも離れたくない。

だって一緒に生きていこうって
約束したじゃない。


涙がポロポロと下に落ちる。


誰か……誰でもいいから
私たちを助けてよ。


これが映画かテレビなら
颯爽と現れた無敵の人物が
この地獄みたいな世界から
私たちを救ってくれるはずでしょう。


誰か……誰か
お願いだから……。


「誰か……」


無意識に零れた私の言葉を聞いて
ケイは力強い目をして
でも静かに口を開く。