私の叫び声に
反射的に急ブレーキを踏んだみたいで
身体が前のめりになった後車は停止する。


彼は微かに舌打ちをして


「何をやってるんだ
さっさと出発……」

「待って!」


その声に被せるように悲鳴をあげ
ガンガンッと外側から
ガラス叩く音響き渡る中
静かに口を開く。


「お願いだから待って
ケイと話をさせて下さい。
少しでいいから時間を下さい。
お願いします」


しゃくり上げながら彼に訴え
縋るようにその冷たい目を見つめ続けた。

すると彼は再びため息をついたあと
運転手に右腕を上げた。


――ゆっくりと
スモークガラスが下に降りる。


段々とクリアになっていくその姿。


「アキ……」

「……ケ……イ」


それだけ言うのが精一杯で
更に込み上げてくる涙
止める事なんて出来ない。


きっとケイは助けてくれる。
この人達やっつけて
風のように私の事連れ去ってくれる。

その為に追い掛けて来て
くれたんでしょう?