「何の話?」


その強い口調と
意味深な言い回しに眉をひそめると
ユウは急に
フッとごまかすように笑った。


「別に〜
俺の格言。
ほら何でもいいから食えよ」


……訳わかんない。

彼が考えてることもその意図も
全てが謎に包まれてて
あまりにわからなすぎて
もう考えることも嫌になってきた。


それでなくても身体と心、両方が
くたくたに疲れているのに。


思えば朝から水すら口にしてなくて
のどかカラカラに乾いて
痛みすら感じてたから
差し出されたドリンクに素直に手を伸ばした。

丁寧にストローまで刺してくれてて
そのままゴクンと一口飲むと
その中身に少し驚いた。


アイスティー。

私が一番好きな飲み物で
この手の店に行ったときは必ず頼むほど。

絶対に偶然だろうけど
何となく不思議な気分で
ただ無言でドリンクを口に含んでいく。


同時に渇いた心が
少しだけ潤っていくような。


会話は何もないのに
沈黙が気にならずに
寧ろ心地よいような錯覚を覚えた。


初めて出会ったのに
この懐かしいような空気は何?

本当訳、わからない。


――そうしてあらかた食事も終わり
と言っても食欲はあまりなくて
デニッシュを少しかじったぐらいで
もう食べるのを止めてしまったんだけど。

すると紙ぐずを片し終えたユウが
いきなりスクッと立ち上がった。


「って事で行くか」

「どこへ?」


検討もつかずキョトンとした私に
ユウは至極当たり前のように
ニヤリと笑って言い放った。


「買い物だよ買い物」