ケイは大きく目を見開いて私を見て
そして無言で何か考え込んでる。


煙の量が増えすぎて
視界も段々ぼやけてきた。
火の手はきっとすぐ側まで迫って来てる。


――少しの沈黙の後
深く長い息をはいてから


「アキわかってんのか?
半端なく痛ぇからな」

「大丈夫!
痛みには強いもん!」

「後悔しないって誓えるか?」

「今ここで何もしなかったら
その方が数百倍後悔することになる!」


そう言い切って口の端を上げた私を見て
ケイが呆れたように笑う。


「まったく、お前は正真正銘のバカだ。
……でもやっぱりお前は俺の妹だな」


その言葉、今の私にとっては
最大級の褒め言葉だ。


思わず嬉しくなって
ニッコリ笑って彼に返すと
ケイもフッと軽く笑った後
口元を引き締めた。


「わかった。
それじゃあ目つぶって
手そこに置け」


言われた通りにして
ゆっくりと瞼を閉じる。


怖くないかって言ったら嘘になる。
だけどもう負けないって決めたから――。


ドキドキと高鳴る心臓を感じながら
痛みに備えて少しだけ身体に力を入れる。


「それじゃあいくぞ……」


緊張したようなケイの声が頭に響き
回りの空気の動く気配で
足振り上げたのが分かって

来るっ!

って更に瞼に力を込めた時――