深夜。

クリスマスに日付がかわって
3時間程たった頃。

深い眠りから覚め
重い瞼を持ち上げたら
いつもと違う景色に驚いた。


……アレ?ここ。


ズキズキと痛むこめかみを感じ
部屋の四方の天井にある
ダウンライトの明かりのみを頼りに
辺りを見回すと
ここはケイの部屋だということがわかる。


なんでここに……?


記憶がなくて、不思議に眉を潜めながら
妙に重たく感じる身体を
ベッドから起こそうとしたら


……ガシャ!


え?


音の出た方に視線を送ると
ベッドのヘッド部分のパイプと
私の左手首を繋ぐ手錠。


何……これ。


再度ガシャガシャと手を引っ張っても
抜けもしなければ
びくりとも動かないで

手首を囲う鉄の輪が更に皮膚に食い込んで
痛みを引き起こすだけだった。


ヤダ!……なんで!?


途端に恐怖に襲われて


「ケイ!ケイ!」


ありったけの声で叫び
暴れてぐるりと辺りを見回したら
視界がグラリと揺れた。

ドサッ!


「痛っ……」


身体がベッドの大分端にあったらしく
床の上にストンと落下した。


手首は当然まだ外れてなくて
そこと激しく打ち付けた腰の痛みに
顔をしかめながらも再び叫び声を上げる。


「ケイ!……ケイ!」


どこにも見あたらない彼の姿に
押し潰されそうな程の恐怖を感じていたら


「……ん」

「ケイ!」

「……うーん、
……アキ?
あ?何だこれ?」


声のした方に目を向けると
ここから死角になってる

ベッドの側の床に転がってたらしいケイが
私の視界の中に
這うようにして現れた。


彼の右手首には私と同じように
手錠が掛けられてて
ベッドの左下の足と手首が
繋がってるのが見える。


薄暗い部屋の中二人、
身体を起き上がらせて
ベッドの縁に寄り掛かりながら
視線を合わせた。