「それは素晴らしい計画だね!
是非とも僕も参加したいな。

今年のクリスマスは
運よくスケジュールが開いてね
皆とゆっくり過ごせそうだ。

そうだアキの初コンサートの場は
せっかくだから
クリスマスの日にしようか?

皆で美味しい料理を食べて
気分が盛り上がって来たところで
アキの歌声が響く。
彼女もきっと喜ぶだろう。

それにコンサートの人員に
よければ僕も加えてくれないか?」

「え?ジェフも!?」


驚きすぎてこれ以上何も口に出せない。

だって彼は
世界的に有名なピアニストで。


「アキ、ビビることはねーぞ
普段ほったらかしにしてるんだから
こき使える時に使っとけ!」

「えぇ!ケイ、何いってんの!」

「ハハッ結構ハッキリ言ってくれるな。

……そういえばケイ、
お前も歌をやってるんだろう?
いつになったら僕に
きちんと聞かせてくれるんだ?」

「残念ながらそんな日は
一生こねーな」


冷たくあしらうケイの言葉に
心底落ち込んだようなジェフのため息。

だから――


「ジェフ、後でこっそり
ケイの歌が聞けるサイトのアドレス
教えてあげるからね」

「おお!アキ
それは助かるよ」

「あ?二人で何こそこそ話してんだよ?」

「「別に〜」」


――そうして雪夜の闇に
賑やかな音色と笑い声が響き渡る中

その姿をジッと見つめる
暗く殺意を持った
二つの鋭い目――。


もう悲劇は
この時から始まっていたんだ。


音もなく……だだ静かに――。