キラキラと目を輝かせた私
ケイは勿体振った様子で眺めると
ニヤリと何か企んでる風な顔をした。


「マイクのギターと俺の歌とベースと
あとお前の歌で
セッションする事」

「う、歌?
ええっ!な、何それ!
よくわからないんだけど」

「ごまかしても無駄だから。
ネタは上がってんだよ」


……嘘!ネタって!

思ってもいなかった彼の言葉に
目が泳いで背中に嫌な汗が流れる。


ケイは楽しそうに
ゲラゲラ笑い声を上げながら


「お前俺のいない時この部屋で
キーボード目茶苦茶に弾きながら
作詞作曲して歌ってただろ?

機械適当にいじるから
その時の音源録音されてたみたいでさ
もう聞いたらびっくり!
何なら今ここで
聞かせてやってもいいけど」


――嘘!
あ、ありえない。


「やだ!やめてよ恥ずかしい。
お願いだから消してよそれ!」

「絶対嫌だ。
俺お前がいつ歌やりたいって言ってくるか
スゲー楽しみに待ってたのに
全然そんなそぶり見せねーんだもん。
待ちくたびれて言っちまったよ」

「……だ、だって」

「だって何?
なんか理由あんのか?」


間髪入れずに問い詰めるケイの眼光
ちょっと鋭くなってたから
無駄な抵抗は止めようと
素直に白状することにする。


「だって私ケイみたいに
上手く歌えないもん」

「なっ!お前なぁ……」


呆れたようなケイのため息。


「俺何年歌ってると思ってんだよ。
最初っから俺より上手く
歌われてたまるかよ。

それに大事なのは
上手いか下手かじゃなくて
歌いたいかどうかって事だろ?」

「……うん」

「それじゃあアキ、聞くけど
お前うたいたいか?」

「………
う、歌いたい……」


――ケイみたいに歌ってみたい。

本当はずっと
そう思ってた――。