――外に出るとさっきより
雪の粒が大きくなってて
尽きる事なく辺り一面に降り注いでた。


日はすっかり落ち
突き刺さるような寒さが
頬に痛みを伴って伝わってくるから

自然と歩みの速度を上げ
柔らかい新雪の上に足跡をつけながら
家までの道程を急いだ。


――だってきっとケイは震えてる。

この雪に覆われた
真っ白い世界の中でただ一人
寒さに震えて
泣いているような気がしたから。


『雪、冬、零度以下』
『ピアノ、クラシック音楽』


いつかケイがピンクの壁に書いた
これらの文字。

その言葉の意味が
今更ながらにわかったから
どうしようもないほど泣きたくなった。


ケイとヴィンス
どっちを選ぶか決めろとか?


――そんなの迷う余地もない。


私が1番大切な人なんて
あの人以外は
ありえないって決まってる。


――そうきっと
私が産まれた、その瞬間から。