家の外に降る雪が
マイクの声以外の音を
全て吸い込んでしまったのか

静寂に包まれたこの空間は
この胸の痛みをいっそう強くさせる。


そんな中一つだけ浮かんだ疑問。


「でも――マイクはいいの?
それで
ケイにそうやって付き合って……
本当はもっと上を
目指したいんじゃないの?」


背の高い彼見上げてそう聞いた私に対し
マイクは伏し目がちな視線
何も変える事なく静かに口を開く。


「――俺は別に何でもいい。
ケイの隣でギターが弾ければ
何でもいいんだ……。

そもそもアイツの隣以外じゃ
俺は音なんか出せやしないし」


……えっ?


「……それって
どういう……」


訳がわからず
彼の方に身を乗り出した私を
チラリと見たマイクは

いつもの通りクールな表情を崩す事なく
本意をぼやかした不鮮明な返答をする。


「――そのうちアキにもわかるよ。
お前がもう少し大人になって
もっと色々音楽聴くようになれば
俺が今言った事の意味も
何もかも」