「マイク、ケイはどうしてあんなに?
いつもは凄く仲いいのに。
それにヴィンスが私の事好きだって
ねぇ、どうしたらいいかな?」

「簡単だよアキ。
解決策はただ一つ
ケイとヴィンス
どっちを選ぶか決めればいい」

「……え?」


どっちってそんなの……。


「皆で仲良く元通りって
都合のいい事望んでんのかもしんねーけど
今回の場合は不可能だ。

もしヴィンスを選べば
ケイは二度とお前らと口効かない
それどころか
きっと視界にすら入れなくなる」

「な、なにそれ……」

「これは別に大袈裟でも何でもない
当然の事実だ。

……逆の場合はどうだろう。
ヴィンスはそこまではしないかな
アイツは大人だし
多少わだかまりが残るぐらいか」


淡々とそんな事話せるマイクに驚いて
そんなの信じたくない……けど

長年彼らと過ごして来た彼の言葉は
紛れも無い事実なんだろうと。


――マイクの傍らにしゃがみ込み
色々と衝撃的過ぎる出来事に
頭の中グラグラとしてた私の意識の中に
ギターの音静かに流れ込んでくる。


こんな時でもスッと
心を覚醒させられるほど
捕われる音色、響き。

だから思わず


「ねえ、マイク」

「ん?」

「そんなにギター弾けるのに
もっと上を目指したいと思わないの?
だってテレビに出てる誰よりも
マイクのギターの方が上手いのに。

もっと多くの人に自分の音
聴かせたくない?」


ケイとマイクあんなに凄い曲作ってるのに
ネットの中だけで満足してるのが
到底理解できなくて本音ぶつけた私を

マイクは真剣な顔付きで数秒眺めた後
ギターの音をぴたりと止めた。


「――正直言うと
俺達にデビュー持ちかけてくる
レコード会社は山ほどいる。
それなのに何でケイが
それを断り続けてるか教えてやろうか?」

「う、うん」


昔ケイが話してくれた事以外にも
何か理由があるんだろうか?


ドキドキと激しく鳴る心臓、
押さえるように手の平を胸にあてる。