ピンと張り詰めた空気の中
恐る恐る振り返ると
部屋のドアの側に立ち
こちらを冷めた目で眺めるケイの姿。


彼はゆっくりと
一歩前に足を進めながら、再び


「……なあ、
何してんのかって聞いてんだよ。
ああ?」


そうわざと淡々としたトーンで
抑えぎにみ口にしたと思ったら
側にあったスタンドライト
ガンっておもいっきり蹴っ飛ばす。


パリンッて軽く砕けた音がして
ちょうどチェストにぶつかった電球が
細かく当たりに散らばった。


――こんなに怒ったケイは
見た事がない。


殺気じみた視線ぶつけ続けるのは
私の背後にいる人物で

さっきから一瞬たりとも
私と絡まない視線に更に怖くなって
まるで吹雪の中にいるみたいに
背筋が凍っていく。


立ち上がって
私の前に身体を移動させたヴィンスに
ケイはなおも鋭く睨み付けたまま


「なあヴィンス
お前自分がどうなるかわかってて
アキにちょっかいだしたんだよな?」

「そういう言い方はよせよ。
俺はただ真剣に
自分の気持ちを伝えただけだ」

「真剣にとか、そんなんどうでもいいよ。
答えはノーだ。
死にたくなかったらさっさと失せろ」

「悪いけどケイには聞いてないよ。
答えを出すのはアキだ」

「何だと?」


ケイが形のいい眉潜ませて
ますます険悪になるこの場の雰囲気に

本当は自分にも関係あることなのに
怖じけずいて二人の間の会話
聞くことしか出来ない。


――どうしよう。
このままだと何か
大変な事になるような気がする――。


そう危惧して立ち上がりかけたとき


「……守るのと支配するのは違う。
いい加減彼女の意志で
色んな事決めさせるべきだ」

「……ヘエ、
面白いこと言ってくれんじゃん。
そこまで大口叩いて
お前覚悟できてんだろうな?
――生憎だけど全部却下だ!」


そう言ってケイは
ニヤリと笑ったかと思ったら


……やばい……!

って焦った私の予想通り


ガツンッ!!バタンッ!!