その言い方に思わず苦笑い。

ケイだけじゃなく
ヴィンス達他の三人も
うちの母親の事情よくわかってるから。


だから胸の中のごちゃごちゃした心境
素直に打ち明けることにした。


「……あのね
他の時は全然大丈夫なんだけど
クリスマス時期はやっぱりどこか
おかしくなる」

「うん」

「普通にクリスマスは好きだよ?
皆からプレゼントもらうし
街がイルミネーションで綺麗なのも
クリスマスツリーの飾り付けも
美味しいお料理も。

……全部好きだけど
なんか心がモヤモヤするの。

ほらテレビの映像とか
ショッピングモールの風景とか
友達の話とか聞くといつも比べちゃう

あぁ私はお母さんにプレゼントとか
ましてやカードでさえも
貰ったことないなぁって。
一緒に買い物すら行った事もないし
愛されてないんだなぁって。

何でお母さんは私が
こんなに嫌いなんだろうって」


そう口にしながら
俯いてしまった私の両手
ヴィンスはギュッて握ったかと思ったら


「それは違うよアキ。

確かにアキの母親の態度は俺自身
頭にきてることもあるけど
彼女は君を嫌いな訳じゃないと思う。

……そうだな
言うなればジェフを凄く好きすぎるだけ。
他の何もかも
見えなくなってしまうほどに」

「……」


驚いて顔をあげると
私の手掴んだままのヴィンスは
すごく優しい目で私の事見てたから
何故だか心臓がドキンと高鳴った。


「だからさ、アキ
君はそんな二人が
深く愛し合って生まれて来た子供だ。

たった一夜の出来事かもしれないけど
それこそ運命みたいに
そこには確かな愛の形があった。

……君はちゃんと必要とされて
生まれてきたんだ。

それにケイや俺達
皆もアキを必要としてる。
生まれて来てくれて
出会えてよかったってね」

「ヴィンス……」


そんな事言われたら
もう泣くことしか出来なくなる。


子供の頃の母の態度に
“自分なんか生まれて来なければ”
って幾度となく
絶望に襲われてた事か。