「……俺がケイと知り合ったのは
お前がケイと会う一年ぐらい前
あるアメリカの
音楽サイトがきっかけだった。

そこはプロもアマも
自分の曲自由にアップ出来て
聴く方も無料で利用できるサイトだったから
ガキでCD買う金も
たいしてなかった当時の俺は
狂ったようにPCで色んな曲
聴き漁ってたよ。

そんであいつらの曲聴いて
かなり衝撃うけて
どうにかして感想を言いたくなって
もう英語の辞書ひっくり返してさ
必死で英文作ってケイにメール送った。

したらよっほど俺の文章が
訳わかんなかったみたいで
それが逆にアイツの興味を引いたらしくて
メールの返事くれて
――それが、最初だったな」


そう話しながら灰皿に灰を落とし
遠い昔を懐かしむみたいな目をして
ユウキはひそかに笑みを見せる。


同じような話
ケイにも昔聞いた事あったのに
まさかユウキと
そんなやり取りしてたなんて
想像もしてなかった。

だって日本とカナダは
果てしなく遠かったから――。


「それから暫くはメールでのやり取り。
俺もバンドっぽいことやってたから
お互い曲聴かせあって
感想言い合って
……他にも色んな話したな。

アイツとスムーズな
コミュニケーションはかれるよう
死ぬほど英語勉強したし」


今の話を聞いてふと思う。


初めて会った時から時々感じた
ケイの姿とダブって映る
ユウキのふとした仕草。


いくらメールでのやり取りとはいっても
お互い影響を与え合いながら過ごした
多感な少年時代からの日々は
そんな不思議な繋がりを生んでも
なんらおかしくはないかもなんて。