すぐに会話は終わり
通話の切れた携帯を
ポケットにしまったユウキは

感情の見えない瞳で
何も言わず私を見下ろした後
ゆっくりとしゃがみこんだ。


そしてまるで自分の物じゃ
なくなったみたいに
全身力が入らなくなった私を

そのままユウキは抱き上げ
部屋まで運んでくれて
電気とかすべて付けっぱなしだった
リビングのソファにそっと座らせる。


深く沈む坐り心地のいいその場所に
少しだけ心が癒された気持ちになって
俯いてた顔を上げると

ユウキは真っ白いタオル
洗面所から持ってきてくれて
それを私に握らせ

少し離れた位置の壁に寄り掛かって
肩膝を立てた状態で床に座り込んだ。


涙でぐちゃぐちゃになった顔
タオルに沈めたら

柔軟剤のほのかな優しい香りと
太陽の日差しを吸い込んだ
暖かく柔らかな感触に
ますます視界が滲んで見えた。


少しの間があって
煙草の煙りと共に
ユウキは静かに語り始める。


始まりから終わり……
全ての事の真実を――。