「アキ泣くな、これは別れじゃない。
大丈夫。
絶対…………」

「…………“約束”だ
俺はお前を
必ず一人になんかしないから。
信じて待ってろ!!」


今でも思い出すのは
白い息と共に吐き出された
こんなフランス語と
力強い輝きを放つ彼の瞳。

そしてガラスごしに合わせた互いの掌。


私は彼らとの出会いで
たくさんの熱を知った。


人と自分と
――そして『音楽』への愛を。


西条 暁(アキ)15歳の夏。

強い日差しの中のたった数日と
ほんの少しだけ過去の話。