サクラの彼に対する気持ちは本物だって
この前分かったのに

彼女と気まずくなりたくなくて
この事を隠し通そうなんて
考えてた私は最低だ。

ただでさえ家に泊めてもらってるなんて嘘
彼女につかせて迷惑かけてるのに。


「別に話すのを止めるつもりはないけど
今日はタイミング悪い」

「どうして?」

「だって明日はライブの本番だろ。
ユウキとお前の話聞いたサクラが
平常心でステージに立てると思う?」

「それは……」


そこまで言われてやっと
さっきのハルトの
言葉の意味がわかって息をのむ。


「いくら前座とはいっても
金払って見に来てる客の前に立つんだ。

それに大勢の人間が絡んでる
大規模なイベント。
中途半端な演奏するなんて許されない。
せめてステージが終わるまで
待った方がいい」

「そう、だね……」


なんて私は浅はかなんだろう。

ハルトの言った通り
こんな話を聞いたサクラの心理状態にまで
全然意識がいってなかった。


早く自分が楽になりたいが為に
サクラの気持ち考えないで
本当最低だ私。

それに私なんかより広い視野で物事見て
明日のライブに取り組んでる彼に対して
自分がすごく小さい人間みたいで
恥ずかしくなった。


「ありがとハルト。
教えてくれて助かった。
サクラにはライブ終わってから
全部話す」

「ああ、わかった。
……ところでさ、」

「ん?」