眼鏡の奥の瞳更に鋭くさせて
声を荒げたハルトの顔真っすぐ見て
口を開く。

どうしようもないほど声が震えた。


「凄く……凄く大事な人亡くして
もう生きていきたくなくなったから」


その言葉言い終わらないうちに
瞳から涙が一筋零れて
木目のテーブルにポトリと落ちた。


こうやって言葉にする度
涙を落とす度
ケイの死が現実となって
私の心に暗い影を落とす。


瞼の奥が熱くなって
周りの風景がどんどん滲んできて
何も見えなくなる。


駄目だ。
昨日泣いてから今まで出来たコントロール
出来なくなってる。


瞬きもせずに
ボタボタテーブルを濡らし続ける私に
ハルトの悲痛な声が届いた。


「ごめん
もうわかったから
これ以上は……もう、いい」

「ううん、ごめん大丈夫
続き話す」


テーブルに置いた掌を
キツクにぎりしめて俯く彼に
無理矢理笑みを見せて
零れた涙を指で拭った私は

この数日間の出来事を包み隠さず
彼に伝えていった――。