「……で?」

「前置き何もなし?
早速聞くんだね。
ハルトってせっかちすぎ」


目の前のアイスティーを
ストローで掻き混ぜながら
グダグタと格好悪い文句を言うと
ハルトは呆れたように顔をしかめた。


何だか尋問される
犯人か何かになったみたいだ。


「そーゆー面倒な事したいなら
仕方ないから付き合ってやるけど?
ってもこの後練習だから
余計な時間あんまりないからな」

「ごめん、嘘。
ちょっとビビって話反らしたかった。
約束だからちゃんと話す」

「あぁ」


かなり昔に流行った
懐メロっぽいBGMの中
少し前の記憶を辿りながら言葉を紡ぐ。

といっても彼との思い出は
どれも強烈過ぎて
そんなの大変な事でも何でもない。

……困るのは
その時の私の感情まで蘇ってきて
胸が焼けるように熱くなること。


「……ユウキと会ったのはほんのつい最近の
家の近くの海岸での事で
私岩で足を切って立てなくて
それを見てユウキが手当してくれた」

「ああ、それで足……。
でも岩って何?
お前もしかして海で泳いでたとか?
まさかだろ、何やってた訳?」


……やっぱりハルトは鋭いな。
私の性格よくわかってる。

一瞬ごまかそうと思ったけど
正直に打ち明けることにした。


ユウキは私に色んな事
きっと嘘付いてるし隠し事してる。

この状況が苦しくて堪らなくて
“嘘”は付くのもつかれるのも
もう嫌だって思ったから。


「それは……
海に入って死のうと思ったから」

「は?
死のうってお前!
何でっ!?」