今回の事
俺なんかよりよっぽどよくわかってて
冷静に物事見れてるコイツに

感謝しつつもかなり悔しくなって
背もたれにだらし無くもたれ掛かって
天井を仰いだ。


「あーぁ、ちくしょう!
こんなはずじゃなかったのによ……」

「はは、そうだな
でもみんな同じ事思ってるだろうよ。

お前もマイクもケイも
それにアキや俺だって
こんなはずじゃなかったって思ってる。

それぐらい今回の事は
イキナリの出来事だったし…
ったくイレギュラーもいいとこだよな。

でもさ、いくら嘆いても
この事実が変わることはないし
やっぱ逃げるわけにはいかねーんだ。

今自分が置かれた状況ときちんと向き合って
最後は自分の力で
乗り越えなきゃならないんだからさ」


……お前ホントにケンか?

“子供出来た”って泣き言言ってたのは
つい最近の事なのによ。


……いや、そういえば
一回腹括ったコイツは
驚くぐらい潔くて一本気な性格だったっけ。


そんなケンから発っせられたその言葉に
凄く聞き覚えがあったから
思わず身体を持ち上げて前屈みになる。


「お前今の……
ケイも前にそんなような事言ってた」

「は?ケイが?そうなんだ〜。
その話詳しく知りてぇ!」


目を輝かせて
こっちに身を乗り出したケンの奥に
アキが戻って来る景色が見えてたから

椅子から立ち上がり
彼女に聞こえないように静かに呟いた。


「そう、確かにケイが言ってた。
今度ゆっくり話してやるよ」


――――――