凄く聞きたいのに
やっぱり何も聞けなくて
ただ無言でユウキの身体に身を任せる。


その大きな腕に包まれ
彼の熱い体温と鼓動を肌に感じ
心が満たされるような
穏やかな安らぎを覚えた。


でも一方では
ドキドキ、ドキドキと
体中の血液が波打つ感覚。


この感情の正体が
やっと自分でも分かってきて

どうしようもなく恥ずかしくなって
彼にこの赤い顔がばれないようにと
祈るような気持ちでゆっくり瞬きをすると

壊れた涙腺がやっと回復したみたいで
睫毛に残った最後の涙の粒
ユウキの白いシャツに
スッと滲ませていった――。