「もうやだ!
お願い……お願いだから
こんなのやめてよ!」

「言っとくけど俺からは絶対にやめない
例えこの指が全部無くなったとしてもな」


信じられない
何で?
何でそこまで。


「わかった!
わかったから。
何でもいう事聞くから
もう止めてよ!」


血で染まるケンの腕を
必死で掴みながらも
高ぶった感情を押さえ切れなくなって
ボロボロと涙が零れ落ちる。


「本当だな?
それじゃあお前
もう二度と自殺なんてしないな」

「わかった!
もう絶対
自殺なんかしない!」


すでに冷静な判断なんか
出来なくなってるのに
そう叫びながら泣き続ける私を見て
満足そうにニヤリと笑みを見せたケンは


「よし約束だ、アキ
絶対破るんじゃねーぞ!」


泣きすぎて声にならなくて
しゃくり上げながら
何度も頷く私を見てやっと

血で染まったナイフが
コンクリートの上に落下する音が静寂な夜の闇の中に
ひそやかに響き渡った。