「あのさ、アキ
もうわかってると思うから
ぶっちゃけるけど
イーライはお前の事が好きで
確かに俺も色々相談されてた」

「……う、うん」


やっぱりそうなんだ
ケイの言った事、正しかったんだ。


「まぁ俺もケイが恐ぇし、
直接的な協力はしなかったけど
アドバイスくらいはしてた。
あんなバカな奴でもいちお弟だし?

でー俺が言ったのは
“もしアキと付き合いたいなら
まずケイに認められるのが先。

どっか遊びに行くにしても
色々アプローチするにしても
まずアイツに許可もらわなきゃダメだ。

もし隠れてコソコソしたりしたら
ばれた時
お前確実にケイに殺されるからな”って」

「こ、殺されるって」


そんなの大袈裟だよって
言おうとした言葉に被さるように
更にフィルの声が続く。


「だから今回の事
お前は何にも気にする事ねーから。
全部イーライ自身のせいだ、

っても事前に断りに行ってたとしても
そん時殺られて
結果は同じだったかもしんねーけど。
ククッ、可哀相な奴」

「ハハッ、でも俺としてはあれですんで
逆にちょっと驚いたんだけど。

俺さ、朝ちょうどフィルん家にいて
現場見てたんだけど
あんときのケイの顔見たら
相当いっちゃってて
イーライ確実にヤラレルって思ったし。

ケイああ見えて喧嘩メチャメチャつえーし
今まで散々大男のしてんの見てきたし
あんなんですんで
ラッキーだったよ」

「だな。
言っても弟まだガキだし
ケイも人の心があったって事だな。

もしこれが俺らとタメとか
年上だったとしたら
確実に相手は病院送りだな」

「し、信じられない」


二人によって語られた
ケイの破天荒ぶりと

そんなケイの態度を全然普通の事みたいに
全く動じない目の前の彼らの様子に
有り得ない……とただただ呆然とする私に
人事のように楽しむフィル。